銀行口座が凍結されるタイミングとは

のぼりとの杜コラム

葬儀の相談の時に「故人の銀行口座はいつ凍結されますか?」といった質問は頻繁にあります。
葬儀代金を故人様の口座からと考えている方は当然、気になりますね。

銀行口座が凍結されることはない
結論から申しますと、亡くなった方の銀行口座がすぐに凍結されることはありません。死亡届を提出したら銀行口座が凍結されると勘違いされている方も多くいらっしゃるようです。
もし、そんなことが起きてしまったら役所から個人情報が駄々洩れです。

凍結されるケースとして
銀行口座が凍結される時というのは、銀行が口座名義人の逝去を知った時です。
・ご家族が銀行で「〇〇が亡くなったのですが…」と報告した場合
・新聞のお悔み欄の掲載で銀行が知って、連絡が来た場合(都心部ではお悔やみ欄の掲載は少なくなりました)
・著名人等で、自然と銀行側が逝去を知る場合
・ちょっとした立ち話等で「ご近所の○○さんが亡くなった…」などで銀行側が知るケース
こんな時には銀行側からの問い合わせがあるかもしれません。

何故、凍結されてしまうのか?
亡くなった方はもうその銀行を使わないから凍結…ではなく、凍結される理由としては口座のお金が相続財産になるからです。たとえ口座に100円しか入っていなかったとしても、相続財産にあたります。相続人対象者全員の財産になるためです。
相続人の誰かが勝手に引き出して、後々に大変なことにならないよう一度、凍結となります。

凍結されてしまった。葬儀費用をどうしよう?
故人様の口座から葬儀費用を考えていたのに、銀行に亡くなった事実を伝えたために凍結されてしまった場合でも葬儀費用として払い出しは可能です。預貯金額の1/3の金額に法定相続分を掛けます。
計算式としては
【預貯金額×1/3×法定相続分=払い出し可能額】
となります。ただし、払い出し可能額の上限は1金融機関につき150万円です。

※例えば預貯金800万円の場合で相続人がお子様2人の場合(子供への法定相続分は1/2ずつ)
【800万円×1/3×1/2=120万円(1人当たり)】
の計算方法になります。1人当たり120万円となりますが、1金融機関につき150万円が上限になるので、今回の場合、120万円が払い出し可能額となります。
凍結後の払い出しには書類等の手続きが必要なので、凍結後の葬儀代金払い出し手続きは早めに行いましょう。

注意点として
・相続の財産からの引き出しになるので、葬儀の明細書(領収書等)はしっかり保管しておく。
・逝去後、凍結される前(葬儀の前)に、故人様の口座から引き出すことも可能ではある。この場合でも、相続財産の対象になるので明細書等はしっかりと保管しておく。
・葬儀が終わると相続の手続きはしなければならない。相続人の間で揉め事にならないように、故人様の口座から葬儀費用の捻出の際にはその旨をきちんと話しをしておく。
・極端な話、銀行に逝去報告をしなければ口座は使え、預貯金も引き出せる。ただし、それらは相続財産になります。『何に使用したか』など領収書を残しておくことが必要である。
・喪主やご家族様自身の持ち出しから葬儀費用を考えているのであれば、故人様の相続財産云々の概念はない。

これらすべては相続が争続にならないためのプロセスです。相続で揉める時というのは、後から色々と出てきてはじめてわかります。
相続は人が亡くなれば誰かが行わなければ(背負わなければ)なりません。法律で法定相続人というものが定められており、法律上での分配率も決まっています。
故人様の財産を“誰が”、“どれくらいの分配で”、“どのようにして”相続するのかを決めていく(遺産分割協議書の作成)ことで解決していくのですが、その前に葬儀費用はどこからの捻出になるのか。これも事前にしっかりと確認しておくことが大切です。